次回クーポンの割引率はいくらが正解?損をしない計算式と決め方
次回使えるクーポンの割引率に、どの店にも当てはまる正解はありません。決め方はひとつで、「割引しても、クーポンがなかったときより利益が増えるか」を自社の粗利で計算することです。割引率を上げるほど、2回目の購入がより大きく増えないと元が取れなくなります。
この記事では、損をしない割引額の計算式、計算例、定額と定率の選び方、法律上の扱い、効果の確かめ方を順に説明します。数字はすべて計算のための例で、特定の店の実績ではありません。
次回クーポンで見落としやすい「元々買う人への割引」
次回クーポンとは、商品と一緒に渡して、次の注文で使ってもらう割引券のことです。見落としやすいのは、クーポンがなくても2回目を買ってくれたお客様にも、割引がかかることです。クーポンの費用は「増えた注文の分」だけでなく、「元々あった注文の値引き分」も含めて考える必要があります。
損をしない割引額の計算式
クーポンを付けて利益が増えるのは、次の条件を満たすときです。
クーポンありの2回目購入率 > クーポンなしの2回目購入率 × 1件あたりの粗利 ÷(1件あたりの粗利 − 割引額)
ここでいう粗利は、売価から商品原価、モールの手数料、送料、梱包費など、1件ごとにかかる費用を引いた金額です。2回目購入率は、初めて買ったお客様のうち、決めた期間内にもう一度買った人の割合です。
計算例:割引率によって必要な上乗せはどう変わるか
次の条件で計算します(いずれも例の数字です)。
- 2回目の注文の単価:3,000円
- 1件あたりの粗利:1,000円
- クーポンを渡す初回購入者:1,000人
- クーポンなしの2回目購入率:10%(100件、粗利の合計は10万円)
| 割引 | 割引額 | 割引後の1件あたり粗利 | 粗利10万円を超えるのに必要な2回目購入率 |
|---|---|---|---|
| 5% | 150円 | 850円 | 約11.8%(118件以上) |
| 10% | 300円 | 700円 | 約14.3%(143件以上) |
| 15% | 450円 | 550円 | 約18.2%(182件以上) |
| 20% | 600円 | 400円 | 25%(250件以上) |
たとえば10%引きのクーポンで2回目購入率が10%から13%に上がったとします。注文は130件に増えますが、粗利は130件×700円=9万1千円で、クーポンなしの10万円より9千円少なくなります。注文が3割増えても、利益は減ることがあるわけです。
表のとおり、粗利に対して割引額が大きくなるほど、必要な上乗せは急に大きくなります。粗利率の低い商品ほど、割引は小さく抑える必要があります。
3回目以降の購入も考えに入れる
上の計算は2回目の注文だけを見ています。2回目を買ったお客様がその後も買い続けるなら、3回目以降の利益も加えて判断できます。ただし、その上乗せ分は自社の実際の購入データで確かめてから使ってください。見込みだけで割引を大きくすると、計算どおりに戻らなかったときの損が大きくなります。
クーポンを渡す相手を絞ると、同じ割引でも費用が下がる
計算式から分かるとおり、費用を押し上げるのは「クーポンがなくても買ってくれた人」への割引です。そこで、割引率を下げる前に、誰に渡すかを見直す方法があります。
| 絞り方 | ねらい | 確かめること |
|---|---|---|
| 初めて買ったお客様にだけ渡す | 2回目に進むかどうかが分かれる人に割引を集中させる | 2回目以降のお客様の購入率が、クーポンなしでも保たれているか |
| 使える期間を区切る | 使い切り・買い替えの時期に合わせて、来店のきっかけにする | 期限切れで使われなかった割合と、期限内の購入数 |
| 使える商品や最低金額を決める | 粗利の高い商品や、まとめ買いに割引を向ける | 条件を付けたことで、使われる数が減りすぎていないか |
たとえば常連のお客様が割引なしでも買い続けてくれているなら、常連の方には割引ではなくお礼のひと言だけを入れ、割引は初回のお客様に回す、という分け方が考えられます。どの分け方が合うかは、上の計算式と、自社の購入データで確かめてください。
定額クーポンと定率クーポンはどちらがよいか
| 種類 | 例 | 向いている場合 | 注意すること |
|---|---|---|---|
| 定額 | 300円引き | 単価がほぼ決まっている商品。費用を読みやすい | 単価の低い注文では割引率が高くなる。「○円以上の注文で使える」条件を付けると防げる |
| 定率 | 10%引き | 単価に幅がある店。まとめ買いを促したい場合 | 高額の注文ほど割引額が大きくなる。割引額の上限を決めておく |
どちらを選ぶ場合も、上の計算式で「割引額」が最も大きくなるケースを確かめておくと、思わぬ赤字を防げます。
次回クーポンは法律上問題ないのか
消費者庁のQ&Aでは、自分の店で次回以降に使える割引券を購入者にもれなく渡すことは、取引通念上妥当な基準に従っていれば「値引」にあたり、景品規制の対象にならないとされています(Q37)。一方で、割引券を抽選で一部の人にだけ渡す場合は、値引とは認められず一般懸賞の規制対象になります(Q46)。同じQ&Aでは、割引率表示(○%値引券)を抽選で渡す場合、割引額の上限を設定しないと規制の範囲を超える可能性があるとも書かれています(出典:景品類ではないもの(消費者庁))。
モールに出店している場合は、モールの規約も守る必要があります。レビュー投稿を条件にクーポンを渡すことや、モールの外へ誘導することの注意点は「同梱物に入れてはいけないもの」で整理しています。
割引率を決める手順
- 1件あたりの粗利を出す:売価から原価・手数料・送料・梱包費を引く
- 今の2回目購入率を出す:直近数か月の初回購入者のうち、90日以内などの期間で2回目を買った割合
- 候補の割引額ごとに、必要な2回目購入率を計算する:上の計算式を使う
- 小さい割引から試す:注文を2つに分け、クーポンあり・なし(または割引額違い)で比べる
- 粗利の合計で判断する:注文数ではなく、割引後の粗利の合計が増えたかで決める
比べ方の詳しい手順は「リピート率を上げる同梱物の設計」の「同梱物の効果を確かめる方法」で説明しています。件数が少ないと偶然の差が出やすいので、数百件単位で比べてから判断してください。
よくある質問
割引率は高いほど2回目の購入が増えますか?
増える可能性はありますが、増えた分で割引の費用をまかなえるとは限りません。上の計算例のように、注文数が増えても粗利の合計が減ることがあります。
クーポンの有効期限はどのくらいにすればいいですか?
商品を使い切る、または買い替える時期に合わせるのが基本です。1か月で使い切る商品なら、その時期に有効なクーポンでないと使われにくくなります。期限の長さも割引率と同じく、2つに分けて比べると自社に合う長さが分かります。
クーポン以外で2回目の購入を後押しする方法はありますか?
使い切りの目安や交換時期を伝える、困ったときの連絡先を書く、お礼のひと言を添えるなど、割引をしない方法もあります。割引は利益を直接減らすので、こうした方法と組み合わせて、割引額をできるだけ小さくするのが基本です。
クーポンと一緒にお礼のひと言を入れたい場合
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