リピート率を上げる同梱物の設計|入れるもの4つと、次回クーポンのルール

リピート率を上げる同梱物は、「お礼」「使い方と困ったときの連絡先」「次に買う理由」「次回使える特典」の4つの役割で組み立てます。どれも、2回目の購入を妨げる「不満」「忘れる」「買う理由がない」を一つずつ減らすためのものです。

チラシを何枚も入れればよいわけではありません。1箱に入れるものを絞り、初回・2回目・常連でお客様ごとに中身を変え、効果を数字で確かめるのが基本です。この記事では、4つの役割の中身、商品タイプ別の作り方、次回クーポンを付けるときの法律とモール規約、効果の確かめ方を順に説明します。

リピート率とは?2回目の購入率から見る

リピート率とは、ある期間に買ってくれたお客様のうち、もう一度買ってくれた人の割合のことです。ネットショップでは特に、初めて買ったお客様のうち2回目も買ってくれた人の割合(「2回目購入率」「F2転換率」と呼ばれます)が大切です。2回目を買ってもらえるかどうかが、お客様が店に定着するかどうかの最初の分かれ目だからです。

計算はシンプルです。たとえば7月に初めて買ったお客様が200人いて、そのうち90日以内に2回目を買った人が30人なら、2回目購入率は30÷200=15%です。期間(30日、90日など)は商品の使い切りまでの長さに合わせて決め、毎月同じ条件で比べます。

なぜ同梱物でリピートを狙うのか

理由は2つあります。1つ目は、お客様に長く買い続けてもらうほど利益が出やすいことです。顧客ロイヤルティ研究で知られるベイン・アンド・カンパニーのフレデリック・ライクヘルド氏は、金融サービスの例として「顧客の維持率が5%上がると利益は25%以上増える」と述べ、その理由に、続けて買う客ほど購入額が増えることや、対応の手間が減ることを挙げています(出典:Reichheld「Prescription for cutting costs」(Bain & Company、2001年))。業種も時期も違う数字なので、そのままネットショップに当てはめることはできませんが、「新しいお客様を集めるだけでなく、今のお客様に続けて買ってもらう」ことの大切さは変わりません。

2つ目は、同梱物は購入者全員の手元に確実に届くことです。モールで買ったお客様に、店から自由にメールを送れるとは限りません。箱の中身は、どのモールの注文でも、お客様が商品を手に取るその場で読んでもらえる数少ない接点です。

なお、「先に何かを受け取ると、お返しをしたくなる」という心理(返報性)を示した研究もあります。レストランで伝票と一緒にチョコレートを渡すと、渡さない場合よりチップが増え、渡す数や渡し方によっても額が変わったという実験です(出典:Strohmetz, Rind, Fisher & Lynn (2002)「Sweetening the Till」(Journal of Applied Social Psychology))。ネットショップの同梱物を調べた研究ではありませんが、何を渡すかだけでなく、どう渡すかで受け取り方が変わることは同梱物にも通じます。

リピートにつながる同梱物の4つの役割

お客様が2回目を買わない理由は、大きく分けて「満足しなかった」「店を忘れた」「また買う理由がなかった」の3つです。同梱物は、この3つを一つずつ減らすように役割を分けて考えます。

役割減らしたいこと入れるものの例
① お礼店を忘れる(印象に残らない)サンキューカード、短い手書きのひと言
② 使い方と困ったときの連絡先うまく使えず不満が残る使い方の説明、よくある質問、問い合わせ先
③ 次に買う理由また買うきっかけがない使い切りの目安、買い替え時期、一緒に使うと便利な商品の案内
④ 次回使える特典次の店選びで他店に流れる当店で次回使える割引クーポン

① お礼:店の名前ではなく「人」を覚えてもらう

お礼のカードは、店を覚えてもらうためのものです。短くても、商品ならではのひと言が入ると印象に残ります。手書きと印刷の違いは「サンキューカードは手書きと印刷どちらが効く?」で、研究をもとに整理しています。

② 使い方と困ったときの連絡先:不満を問い合わせに変える

うまく使えなかったお客様は、問い合わせをせずに黙って離れていくことがあります。「困ったら連絡してください」と一行書いておくだけで、不満を店に伝えてもらえる道ができます。連絡先は、問い合わせフォームのURLやメールアドレスなど、出店しているモールの規約で認められている方法にしてください。

③ 次に買う理由:使い切りの目安と時期を書く

4つのうち、最も見落とされやすいのがこの役割です。「この商品はどのくらいでなくなるのか」「次はいつ買えばいいのか」をお客様は知りません。使い切りの目安や交換時期を具体的な期間で書くと、なくなったときに思い出してもらいやすくなります。

④ 次回使える特典:当店で使える値引きにする

次回使えるクーポンは、2回目を選ぶときの後押しになります。ただし付け方には法律とモールのルールがあります。詳しくは後の「次回クーポンを付けるときのルール」で説明します。

商品タイプ別:「次に買う理由」の作り方

「次に買う理由」は、商品によって作り方が違います。自社の商品がどれに近いかを見て、書く内容を決めてください。

商品のタイプ例同梱物に書くこと
使い切る消耗品化粧品、食品、洗剤、サプリメント何日・何回で使い切るかの目安、補充のタイミング
交換時期がある商品フィルター、替え刃、保護フィルム交換の目安になる期間や状態(傷・汚れ・におい等)
一緒に使う商品がある本体と付属品、ケースとフィルム組み合わせると便利な商品の案内(売り込みではなく使い方として)
季節・行事で買う商品ギフト、季節の食品、衣類次の行事や季節の時期、贈り先に合わせた選び方
長く使う耐久品家具、家電、かばん手入れの方法と長持ちのコツ(次は買い替えより紹介・別商品)

耐久品は、同じ商品をすぐ買い直すことはまずありません。この場合は無理に再購入を勧めず、長く満足して使ってもらうこと自体を目的にするほうが、結果として別の商品の購入や、レビュー・口コミにつながりやすくなります。

初回・2回目・常連で同梱物を変える

すべての注文に同じ同梱物を入れていると、2回目以降のお客様にも「はじめまして」の内容が届きます。購入回数で中身を変えるだけで、同梱物は「店がお客様を覚えている」というメッセージになります。

お客様目的入れるもの
初めての購入不安をなくし、2回目につなげるお礼のカード、使い方、困ったときの連絡先、次回使える特典
2回目の購入「また選んでくれた」ことへのお礼2回目向けのお礼のひと言、関連商品の案内
3回目以降(常連)関係を続けるいつも選んでくれることへのお礼。毎回同じチラシは入れない
ギフト注文受け取った人に店を知ってもらう価格の分かるものは入れない。贈り主へのお礼は別途

購入回数の見分け方は、受注管理の仕組みによって違います。まずは「初回」と「2回目以降」の2種類に分けるだけでも十分です。

そのまま使えるひと言の例(50文字以内)

場面文例文字数
初回・日用品ご購入ありがとうございます。毎日使うものだから、気持ちよく使ってもらえたらうれしいです。44
初回・困ったときお届けした商品はいかがですか。困ったことがあれば、いつでもご連絡くださいね。38
消耗品の補充約1か月で使い切る目安です。なくなる前の補充に、また当店をご利用ください。37
2回目2回目のご注文ありがとうございます。またお選びいただき、心から感謝しています。39
常連いつもありがとうございます。これからも長く使ってもらえる品をお届けします。37
ギフト贈り物に選んでいただき、ありがとうございます。また大切な日にお役立てください。39

「約1か月」の部分は、自社の商品の実際の使い切り期間に置き換えてください。業種別の文例は「サンキューカードの文例集|業種別にそのまま使える50文字以内の例文37本」にまとめています。

次回クーポンを付けるときのルール|景品表示法とモール規約

消費者庁のQ&Aでは、自分の店で次回以降に使える割引券を購入者にもれなく渡すことは、取引通念上妥当な基準に従っていれば「値引」にあたり、景品規制の対象にならないとされています(Q37)。一方で、次の2つの場合は扱いが変わるので注意が必要です(出典:景品類ではないもの(消費者庁))。

やり方扱い根拠
購入者全員に、当店で次回使える割引券を入れる値引にあたり、景品規制の対象外(取引通念上妥当な基準に従う場合)消費者庁Q&A Q37
割引券を抽選で一部の人にだけ入れる懸賞による提供となり、値引とは認められず一般懸賞の規制対象消費者庁Q&A Q46
「おまけの品物」か「キャッシュバック」かを選ばせる同じ企画で景品と併せて行うため、どちらも景品類として扱われる消費者庁Q&A Q48

同梱物で「当たりが入っているかも」と演出したくなることがありますが、中身に差をつけると規制の考え方ごと変わります。同じ特典を全員に入れるのが安全です。

また、景品表示法とモールの規約は別のルールです。モールに出店している場合、クーポンはそのモールで使えるものにし、レビューを書いた人だけにクーポンを渡すような条件付けはしないでください。楽天市場はガイドラインでレビュー投稿を条件とした報酬を禁止しています。各モールのルールと、自社サイトへ誘導する際の注意点は「同梱物に入れてはいけないもの|楽天・Amazon・Yahoo!の規約と景品表示法・信書のルール」で整理しています。

同梱物を入れすぎると逆効果になる理由

チラシ、カタログ、クーポン、アンケート、SNSの案内…と入れるものが増えるほど、お客様は一つひとつを読まなくなります。読まれなければ、一番伝えたいお礼や使い切りの目安も埋もれてしまいます。1回の注文で伝えることは、4つの役割のうち、そのお客様に必要なものだけに絞ってください。

  • 優先して入れる:お礼のひと言、困ったときの連絡先(初回は特に)
  • 商品によって入れる:使い切りの目安・交換時期、関連商品の案内
  • 入れる回を決める:次回使える特典(例:初回だけ)
  • まとめる:同じ情報が載ったチラシが何枚もあれば1枚にする

同梱物の効果を確かめる方法

同梱物を変えたら、本当に2回目の購入が増えたかを確かめます。手順は次のとおりです。

  1. 見る数字を1つ決める:初回購入から90日以内の2回目購入率など
  2. 変える前の数字を記録する:直近数か月分を同じ条件で計算しておく
  3. 一度に変えるのは1か所だけ:カードの文面と特典を同時に変えると、どちらが効いたか分からなくなります
  4. できれば注文を2つに分けて比べる:注文番号の末尾が奇数と偶数で中身を変えるなど、機械的に分けると偏りが出にくくなります
  5. クーポンは使われた枚数も数える:同梱物ごとに別のクーポンを用意すると、どの同梱物から戻ってきたかが分かります
  6. 費用と並べて判断する:増えた2回目の購入の粗利が、同梱物の費用を上回っているかを確認します

比べる件数が少ないと、偶然の差が出やすくなります。数十件ではなく、数百件単位で比べてから判断してください。

よくある質問

同梱物はどの順番で箱に入れればいいですか?

箱を開けて最初に目に入る位置に、お礼のカードを置くのが基本です。説明書やクーポンはその下に重ねると、まずお礼が読まれ、そのあと必要な情報に進んでもらえます。

次回クーポンの割引率はいくらにすればいいですか?

正解は商品の粗利と単価によって変わります。割引しても利益が残る範囲で決め、上の手順で効果を確かめながら調整してください。割引率を高くすれば必ず戻ってくるわけではありません。

サンキューカードだけでもリピートにつながりますか?

カードだけで2回目の購入が増えるかどうかは、商品や客層によって違い、一概には言えません。お礼のカードは「店を覚えてもらう」役割を担うので、使い切りの目安など「次に買う理由」と組み合わせると、役割が補い合います。

お礼のひと言を手書きで入れたい場合

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この記事を書いた会社
ヒツマル編集部(山口コーポレーション株式会社)。スマートフォンアクセサリーブランド「シズカウィル」を楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Qoo10で販売するEC事業者として、同梱物やレビュー施策を売り手の立場から解説しています。記載内容は公開日時点の各モールの公式ガイドラインに基づきます。