サンキューカードは手書きと印刷どちらが効く?研究でわかったことと使い分けの基準
手書き(あるいは手書きに見える)メッセージが、受け取った人の反応を高めやすいことを示す研究はあります。一方で、ネットショップの同梱カードで手書きと印刷を直接比べた大規模な公開データは、調べた範囲では見つかりませんでした。
そのため「どの商品でも手書きのほうが効く」とは言い切れません。商品の性質と出荷数で使い分け、自社で小さく比べて確かめるのが確実です。この記事では、根拠になる研究、手書きと印刷の比較、商品ごとの使い分け、自社での確かめ方を順に説明します。
手書きのサンキューカードと印刷のカードは何が違うのか
この記事では、ペンで1枚ずつ文字を書いたカードを「手書き」、印刷機で同じ文面を刷ったカードを「印刷」と呼びます。印刷には、手書き風の書体(フォント)で刷ったものも含みます。
両者の違いは、受け取った人が「人が自分のために書いた」と感じるかどうかです。手書きには、筆圧やインクのにじみ、同じ文字でも一つずつ形が違うといった特徴があり、これが「人の手が入っている」という印象につながります。
手書きの効果を示す研究はあるのか
手書きの付箋を貼ると、アンケートの回答率が約2倍になった
米国の研究者ランディ・ガーナー氏が2005年に Journal of Consumer Psychology で発表した研究では、アンケート用紙に手書きのお願いを書いた付箋を貼ると、回答率が大きく上がりました。英国 行動インサイトチーム(BIT)による紹介記事によると、回答率は付箋ありで76%、付箋なしで36%でした。
論文の要旨では、同じ文言を表紙に書いただけの場合や、何も書いていない付箋を貼った場合と比べても、手書きの付箋のほうが回答率が高く、回答も早く丁寧だったとされています。著者は、付箋があることでお願いが「個人的な頼みごと」として受け取られ、応じようとする気持ちが働くためだと説明しています(出典:Garner (2005)「Post-It Note Persuasion: A Sticky Influence」(SSRN))。
なお、要旨では、手軽に終わる簡単なお願いでは個人的な呼びかけの効果が見られなかったとも書かれています。手書きが効きやすいのは、相手に少し手間をかけてもらうお願いだと読み取れます。レビューの投稿は、まさにこの「少し手間のかかるお願い」にあたります。
手書き風の文字は「人の気配」を感じさせ、商品の評価を上げる
2018年に Journal of Consumer Research に掲載された研究では、手書き風の書体を使うと、消費者が「人の存在」を感じ、商品への愛着が高まって評価が上がることが示されました(出典:Schroll, Schnurr & Grewal (2018)「Humanizing Products with Handwritten Typefaces」(Journal of Consumer Research))。
ただし、この研究には重要な条件がついています。機能性を前面に出した商品では効果が逆転し、すでに強い愛着を持たれているブランドでは効果が弱まるとされています。手書き風にすれば何でも良くなるわけではありません。
同梱カードで直接比べた公開データは見当たらない
上の2つの研究は、どちらもネットショップの同梱カードを対象にしたものではありません。「手書きにするとレビュー率が◯%上がる」といった数字を見かけたときは、誰を対象に、何件で、何と比べた結果なのかが示されているかを確認してください。示されていない数字は、自社の判断材料には使いにくいものです。
手書きと印刷の比較表
| 比べる点 | 手書き | 印刷 |
|---|---|---|
| 受け取った人の印象 | 人が書いたと伝わりやすい | 読みやすく整っているが、事務的に見えやすい |
| 1枚あたりの手間 | 人が書く場合、1枚ごとに時間がかかる | 刷ってしまえば封入するだけ |
| 文面の変え方 | 1枚ずつ変えられる | 同じ文面が基本(差し込み印刷なら名前などは変えられる) |
| 仕上がりの均一さ | 書き手の疲れなどで崩れることがある | 均一 |
| 向いている内容 | お礼や気持ちを伝える短い一言 | 使い方・保証・返品方法など正確さが必要な案内 |
手書きが向いている商品、印刷で十分な商品
上の研究結果をもとにすると、使い分けの目安は次のとおりです。
- 手書きが向いている:ギフト、化粧品、アパレル、食品など、気持ちや体験で選ばれやすい商品。初めて買ってくれたお客様へのお礼
- 印刷で十分、または印刷が向いている:工具、消耗品、家電の付属品など、機能で選ばれる商品。研究では、機能を前面に出した商品では手書き風の効果が逆転するとされています
- 両方を使う:同じ箱の中で、お礼の一言は手書き、使い方や保証の説明は印刷、と役割を分けるのが現実的です
手書きのサンキューカードを続けられない理由
手書きの一番の弱点は時間です。仮に1枚1分で書けるとしても、1日100件の出荷なら100分、月2,000件なら約33時間かかります。
注文が増えるほど、書く時間が発送作業を圧迫します。手書きを続けるかどうかは、効果だけでなく、出荷数に対して書く時間を確保できるかで判断する必要があります。
手書きと印刷、どちらが効くかを自社で確かめる方法
一般論よりも確かなのは、自社の商品とお客様で比べることです。次の手順で比べられます。
- 見る数字を決める:レビューの投稿率、2回目の購入率など、1つか2つに絞ります
- 同じ期間の注文を2つに分ける:たとえば注文番号の末尾が奇数なら手書き、偶数なら印刷、のように機械的に分けると、偏りが出にくくなります
- 違いは「手書きか印刷か」だけにする:文面、カードの紙、ほかの同梱物はそろえます
- 一定期間続けてから集計する:件数が少ないと偶然の差が出やすいので、数十件ではなく数百件単位で比べます
- 差とコストを並べて判断する:上がった数字が、手書きにかかる時間や費用に見合うかを確認します
カードでレビューに触れる場合は、各モールの規約を守る必要があります。詳しくは「サンキューカードでレビュー依頼はしていい?楽天・Amazonのルールと、規約に触れない書き方」をご覧ください。
よくある質問
手書き風フォントで印刷しても効果はありますか?
2018年の研究は、まさに手書き風の書体で効果を確かめたものです。ただし、機能で選ばれる商品では逆効果になりうるとされているため、商品の性質に合わせて判断してください。
手書きのカードには何を書けばいいですか?
お礼、商品ならではの一言、困ったときの連絡先の3つが基本です。業種別の文例は「サンキューカードの文例集|業種別にそのまま使える50文字以内の例文37本」にまとめています。
同梱してはいけない内容はありますか?
レビューと引き換えの特典や、効能をうたう表現などは避ける必要があります。「同梱物に入れてはいけないもの」で規約とあわせて整理しています。
手書きのサンキューカードを外注する場合
手書きの効果は試したいけれど、書く時間が取れない場合は、当社が運営するヒツマルをご検討ください。ロボットが本物のペンを持って1枚ずつ書く代筆代行サービスで、同じ文字でも一字ごとに書き分けるため、印刷では出せない筆跡の凸凹まで再現します。1時間に5,000枚、1枚66円(100枚〜)から50,000枚以上で9円(いずれも税込)、代筆開始から最短7営業日で発送です。メッセージは句読点を含めて50文字以内、用紙は上質紙180kgです。上で紹介した「半分を手書き、半分を印刷」で比べる試し方にもお使いいただけます。当社が用意した文面でのサンプルもご請求いただけます。

